生活保護を受けているから、財産を受け取れないと思われがちですが、これは間違いです。
生活保護を受給していても、相続財産の相続は可能です。
しかし、生活保護受給者が相続財産を相続した場合、生活保護をもらえる資格を満たさなくなったりすると、以降の受給が停止になる可能性はあります。
そもそも生活保護の受給資格は、生活に困窮するもので、利用し得る資産を最低限度の生活の維持のために活用し、親族などの扶養を受けてもなお生活に困窮した者が受けられる制度なのです。
そのため、相続した結果、預金など手元のキャッシュが増えたといったような場合、最低限度の生活を維持できるようになったとも見られるため、生活保護の需給が停止になったり廃止になったりする可能性はあるのです。
では実際に、生活保護受給者が相続人の場合、どのような手続きを取るのがよいでしょうか。
今回は必要な手続きの流れを中心にご紹介していきます。
相続財産を相続する前に
相続が発生し、自分が相続人だと知った時には、勝手に相続することや、放棄することを判断せずにまずはケースワーカーに相談します。
私自身も実務で生活保護受給者が相続人のケースの手続きを担当した際に、ケースワーカーさんと緻密なやり取りをし、最終的な方針を決めました。
相続することを決めたら
ケースワーカーさんと事前に相談しながら決めた場合は問題ないですが、勝手に相続すると決めてしまった場合は、生活保護の不正受給になりかねないので注意が必要です。
不正受給と判断されると、ペナルティを課された上で不正受給した保護費を徴収されてしまう可能性があります。
相続財産を相続した場合は、必ず福祉事務所やケースワーカーさんに届け出ましょう。
なお、私が担当した案件では、少額の財産であれば相続可能と判断いただきました。
また、必要最低限度の生活を維持するために、自宅であれば相続できるようですが、例えばタワマンの一室だとか、東京23区のすぐに買い手がつくような物件だと、結果的に受給は停止されるそうなので注意が必要です。
逆に、処分が困難な山林などは相続できそうですが、結局このような土地を相続しても管理費などでかえって財産的に厳しい立場となるため、あまりメリットはないでしょう。
相続財産を放棄したい場合は
基本的に相続財産を相続できれば、その分生活保護受給者の財産は増えることになるので、生活保護を受給したいがために相続放棄をするということはNGです。
しかし、場合によっては相続放棄が認められるケースもあります。
それは、処分しづらい財産、例えば維持費がかかってしまうのに、売却しにくい山林や、借金が多い場合です。
このようなものを放棄することはむしろ、生活保護受給者の最低限度の生活を守ることにも繋がるため、認められることが多いようですが、原則相続放棄はNGのスタンスなので、まずはケースワーカーさんや福祉事務所に相談しましょう。
まとめ
生活保護受給者が相続人の場合、どのような手続きが必要になるかをご紹介しました。
相続財産を相続するにしても、放棄を検討するにしてもまずはケースワーカーさんや福祉事務所に確認することが必要です。
実務でもやはり相談した上で手続きを進めるので、慎重な判断をしましょう。
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