抵当権とは、不動産を購入する際に、銀行からローンを組んでもらい、銀行側は返済を担保する意味で不動産に設定するものです。
借りた人がお金を返さない時は、その不動産をもらってしまうよという権利とイメージしてください。
ローンの返済が終わったり、お金を借りていた方が亡くなっていたりと事情は様々ですが、実務ではこの抵当権を取っ払うことを、抵当権の抹消と言います。
では、どういった場合に抵当権の抹消が必要なのか、これから解説していきます。
抵当権抹消が必要なケース
①不動産を売却する必要がある時
→抵当権がついたままだと売却はできません。
もし自分が不動産を購入するときに、何かあった時には不動産を銀行が回収してしまうという強い権利がくっついていたらどうでしょうか?
そんな不安定な地位にある不動産は欲しくないですよね。
②新規で他銀行から融資を受ける場合
→抵当権をさらに追加で設定する場合は問題ないのですが、例えば他の銀行の方が金利が安くなるなどの理由で借り換える場合は、今設定されているものを抹消してからでないと、借り換えができません。
③住宅ローンを完済した場合
→完済したら忘れないうちに、抵当権の抹消をした方が良いでしょう。
④借りている人が亡くなった場合
→会社員などでローンを組んで不動産を購入すると、高確率で団体信用保険というものに加入します。
これは、保険と書いてあるように、借りている人が亡くなった場合は、保険金が支払われるのですが、その支払われた保険金をローンに充当し、相続人はローンを支払わずに済むという制度です。
この場合も抵当権の抹消が可能となります。
抹消できるのに放置したらどうなる?
放置することのデメリットとしては、書類を取得したかどうかが不明になり、銀行とのやりとりが煩雑化する恐れがあります。
実際に一度抵当権抹消に必要な書類が発行されたものの紛失してしまった場合は再発行の手続きを取る必要があるのですが、余計な費用もかかり、いいことは一つもありません。
さらに、不動産の所有者が亡くなったり、銀行が合併したりすると、相続登記をし直したり、どこの金融機関になったのかを特定しなければなりません。
かなり昔に設定された抵当権で、抵当権者(銀行など)が今も存続するかどうかわからないような会社だと、供託や裁判などをして、通常の抵当権抹消の手続きだけでは済まないケースもあります。
その場合は費用も高額になり、場合によっては数十万円もかかる可能性も出てきます。
煩雑にしないためにも、抹消できることが分かったらすぐに着手するべきです。
自分でやる場合の流れは?
抵当権の抹消など、登記申請に関わることは司法書士にお願いすることができますが、報酬が発生します。
この部分を節約したいという方のために、ご自身でやる場合の流れをご説明していきます。
①銀行から書類が届く
→ローンを完済すると、基本的には金融機関から書類が届きます。
ただ、団信が適用される場合や書類を再発行してもらいたい場合はこちらから連絡する必要がありますので、要注意です。
②法務局で登記事項証明書を取得する
→いわゆる登記簿謄本です。
ここに記載されている内容を、抵当権抹消の際に使用する申請書に記載すべき情報を転記します。
③登記簿上の住所や氏名が現在と異なる場合、繋がりの分かる戸籍の附票(住民票)や戸籍謄本を取得する
→この部分が現在と異なる場合、まずは所有権登記名義人表示変更登記が必要となります。
④登記申請書を作成し、法務局に提出する
→法務局で対象の申請書をダウンロードし印刷します。(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html#16)
⑤登記完了日に、法務局に受け取りに行く
→申請を出してから10日前後の日が完了予定日として指定されるので、申請時に予定日も確認して、その日に取りに行きます。
まとめ
抵当権の抹消が必要なケース、そのままにした場合のデメリット、自分で申請する場合の流れをご説明しました。
登記申請は複雑になることも多く、司法書士に依頼するケースも多いです。
ご自身で難しいと感じた場合は、一度司法書士にご相談するのをおすすめします。
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