相続が発生し財産を調査している中で、これは相続財産になるのか?と、ご自身で判断に悩まれる場面があると思います。
そこで今回は、財産調査をする際の指標になるよう、相続財産になるもの、ならないものをご紹介していきます。
そもそも相続財産とは?
相続財産とは、プラスの財産やマイナスの財産(負債)も全ての資産および権利義務のことを言います。
プラスの財産といえば不動産や預貯金、有価証券などで、マイナスの財産とは借金や借入、クレジットカードの残債などです。
相続財産には、本来は相続財産ではないが、相続財産としてみなしますよというものもあります。
相続財産になるもの、ならないもの、みなされるものの3つの軸で、以下でそれぞれご紹介します。
相続財産になるもの
①不動産
→土地・建物以外にも、私道にも持分が入っていることもありますので、こちらも相続財産となります。
②現金、預貯金
→現在は銀行に預け入れている預金がほとんどかと思いますが、タンス預金などで手元に残っている現金も相続財産として計上していきます。
③自動車
→実際に今売却したらいくらになるかという観点で相続財産に組み入れていきます。
④有価証券
→証券会社に保管してある株式以外にも、信託銀行が管理している端株などもあるため注意が必要です。
⑤損害賠償請求権や損害賠償の義務などの権利義務
→事故などで亡くなった場合、この権利義務も相続の対象になります。
⑥借金やクレジットカードの残債
→このような負債も、相続財産として計上していきますが、負債の場合は相続財産から引いていきます。
⑦名義預金
→これは、通帳の名義は相続人の誰か、もしくはお孫さんなどで、通帳の管理や届出印の管理をしていたのがなくなった方という種類の預金です。
お孫さんが大きくなった時の結婚資金のために別口で貯金していたりすると、これは資金の分散とみなされるため、相続財産となります。
いわゆるヘソクリも、相続財産としてカウントされるので、もし亡くなった方の奥さんの預金額が著しく多い場合は注意が必要です。
⑧借地権
→この借地権も実は相続財産となります。
所有権よりかは税的負担は軽減されるものの、それでも所有権の70%程度の評価になります。(場所によってこの借地権の割合は変動します)
相続財産にならないもの
では、相続財産にならないのはどういったものなのでしょうか。
①医師免許や弁護士の資格などの一身専属的(その人だけに許された権利)なもの
→身元保証人の地位や、生活保護の受給権、年金の受給権なども相続財産とはなりません。
②祭祀財産
→白木の位牌など葬儀の際に使用した簡易的なものであれば問題ないのですが、黒塗りの仏壇に置いておくようなものは相続財産にはなりません。
お墓なども相続財産にはならないので、生前にお墓を準備して、現金を減らす方もいらっしゃいます。
しかし、現金を減らす目的で金でできたお墓を作った場合は、相続財産としてみなす判例があるので過度なものは要注意です。
③香典
→通夜、告別式にかかった費用は相続財産から引けますが、香典返しの費用はあくまで相続人が受け取った香典に対してのお返しという認識になるので、相続財産とはなりません。
相続財産とみなされるもの(みなし相続財産)
①死亡保険金
→法的には相続財産ではありませんが、税務的には相続財産として見ていく必要があります。
ただ、法定相続人の数×500万円までの保険金は足し戻さなくてもよく、この計算式からはみ出る部分のみ相続財産として足せばOKです。
※被保険者、契約者が被相続人で、受取人が相続人の保険契約のみ対象となるので要注意です。
②死亡退職金
→こちらも相続税の課税対象となる相続財産とみなされますが、上記①と同様の算式が適用されますので、はみ出た分のみ相続財産とみなします。
③死亡前3年以内の贈与
→贈与は年間110万円まで贈与税は非課税ですが、死亡前3年以内に贈与されていた場合は相続財産として見ていかなければいけません。
まとめ
相続財産になるもの、ならないもの、みなされてしまうものという3つの軸でご紹介してきました。
相続税の申告は亡くなった方の死亡日から10ヶ月以内なので、効率的に財産調査をする必要があります。
ご自身でこれは相続財産ではないと決めつけてしまうのはかなり危険なので、複数財産がある場合は早めに専門家に相談してください。
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