不動産の名義変更や、預金の解約の手続きなど、やらなければいけない手続きの一つで、高いハードルになりうる戸籍請求。
一体どの戸籍をどの範囲まで集めたらいいのか、戸籍の種類から、どうやって取得するのかまで、今回は詳しく解説していきます。
戸籍の種類について
戸籍を請求する際に、謄本と抄本という言葉を聞く機会があると思います。
そもそも謄本とは、その戸籍に記載のある、世帯全員分の戸籍というものです。
困った時は謄本を取れば間違いないです。
抄本とは、その戸籍に記載のある一部の方(通常は請求対象者のみ)の戸籍です。
相続人の戸籍は抄本でも構いませんが、被相続人の戸籍は謄本で取った方が良いでしょう。
なぜかというと、亡くなった方に配偶者やお子さんが同じ戸籍にいる場合、その配偶者やお子さんの戸籍も相続人として証明するために必要だからです。
除籍、改製原戸籍とは
まず除籍謄本とは、その戸籍から誰もいなくなった戸籍のことです。
戸籍から抜ける要因としては婚姻や死亡がありますが、先に妻が亡くなっており、子どもは結婚して新しい戸籍ができている状態で対象者が亡くなった場合、除籍謄本となります。
次に、改製原戸籍とは、何種類かあります。
時代の変遷によって、戸籍は何回か作り替えられており、婚姻や死亡以外の要因で戸籍ができる場合があります。
それが改製原戸籍です。
現在取得できる改製原戸籍は、
①昭和改製原戸籍
②平成改製原戸籍
の2つがあります。
①は、昭和23年に新しい戸籍法が施行されたためできたものです。
現在では戸籍は夫婦を基本単位としていますが、この①の改製がされる前までは〇〇家というように、家全体を1つの単位として見るため、基本的に長男が先祖代々戸主を務めていました。
②については、今の戸籍と昔の戸籍を見比べて見るとすぐに分かります。
現在の戸籍は、コンピュータ化されているため、非常に情報が分かりやすく、判読も容易です。
しかし、戸籍は昔に遡れば遡るほど、筆で書いた字で、ところどころ読めない部分も出てきます。
時代の変遷に伴い、戸籍もデータ化する流れを辿って②の現在の形式に落ち着いているのです。
どの戸籍を集めたらいい?
相続手続きのうち、銀行の手続きや不動産の名義変更で戸籍が必要になります。
ではどの程度の範囲でどの戸籍を取ればいいのでしょうか?
まず、共通するものとしては、亡くなった方の死亡から出生につながる戸籍全部(除籍、改製原戸籍含む)を取得する必要があります。
あとは、相続人全員の戸籍謄本が必要です。
銀行は上記の死亡から出生まで繋がる戸籍と相続人全員の戸籍謄本を集めれば良かったのですが、不動産の名義変更にはそこからさらに踏み込んで、被相続人の最後の住所を証明するために戸籍の附票(役所で取得できます)もしくは本籍記載ありの住民票除票が必要になります。
最近制度が変わり、特に何も申請しないと本籍と筆頭者の記載を省略されてしまうので、必ず本籍、筆頭者の記載アリで請求してください。
プラスで、相続で不動産を取得する方の住所を証明する書面として、戸籍の附票もしくは住民票が必要です。
ちなみにマイナンバーカードがあればその本人の戸籍謄本は取れますが、改製原戸籍や除籍謄本は役所に請求をしないと取得できないのは要注意です。
請求に関しては、役所に出向いて役所に備え付けのある請求票に必要な戸籍を記載していきます。
もしくは郵送での請求もできるので、その場合は定額小為替を必要金額分入れ、返信用の封筒を忘れずにつけるようにしましょう。
上記で紹介した戸籍は、通常の妻、子どもが相続人の場合の必要書類で、兄弟相続の場合は亡くなった方の両親の出生から死亡に遡る戸籍も必要になるため、かなりボリュームが出てきます。
まとめ
相続手続きに必要な戸籍の範囲や、それぞれの戸籍の種類についてご紹介しました。
相続に携わる者がまず最初にやるのは、戸籍を読み込むことと言われるくらい、基本的なことではありますがこれがなかなか難しく、ご自身でやる場合は高いハードルとして立ち塞がってきます。
ご自身で収集するのが難しい場合は、行政書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
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