突然の相続、一体どうすればいいのでしょうか?複雑な手続きや法律に戸惑い、不安を感じている方も少なくないはずです。この記事では、相続に関するよくある100の疑問を専門家が分かりやすく解説します。相続税の計算方法から遺産分割の方法、手続きの流れまで、スムーズな相続手続きを進めるための知識を網羅的にご紹介します。本記事を読み終える頃には、相続への不安が解消され、自信を持って手続きを進められるようになっているでしょう。さっそく詳しく見ていきましょう。
- 相続開始と相続人
- 遺産の種類と評価
- 不動産: 路線価、公示地価などを用いた評価方法を解説
- 預金・現金: 残高をそのまま評価額とする
- 株式: 時価または相続税評価額による評価
- 投資信託: 時価または相続税評価額による評価
- 自動車・美術品: 専門機関による鑑定評価が必要となる場合が多い
- 借地権・底地: 専門家による評価が必要
- 事業: 事業の収益力などを考慮した複雑な評価が必要
- 権利・特許権: 専門家による評価が必要
- 債権・債務: 時価で評価
- 評価額への異議: 税務署に異議申立てを行う
- 相続税評価額と時価: 相続税評価額は時価とは異なる評価方法による
- 相続税評価額の減額: 減価償却、評価減などを活用
- 遺産評価者: 税理士、不動産鑑定士など
- 評価への不服: 税務署、国税不服審判所に不服申立て
- 専門家: 税理士、不動産鑑定士、会計士など
- 相続税
- 基礎控除額:金額は相続人の数や相続開始時期によって異なる
- 相続税率:累進課税制で、相続額が多いほど税率が高くなる
- 申告期限:相続開始から10ヶ月以内
- 申告に必要な書類:相続税申告書、遺産分割協議書など
- 申告の可否:専門知識が必要なため、税理士への依頼が推奨される
- 税理士への依頼メリット:正確な申告、節税対策の提案
- 節税対策:生前贈与、生命保険、信託など
- 生前贈与の節税効果
- 生命保険と相続税
- 延滞税:申告期限を過ぎると延滞税が発生する
- 納付方法:納付書による納付、口座振替など
- 還付請求:過払い分があれば還付請求できる
- 納付困難の場合:税務署に相談し、猶予や分割納付を検討
- 相談窓口:税務署、税理士、弁護士など
- パンフレット入手:税務署、国税庁ホームページなど
- 遺産分割
- 遺産分割協議:相続人全員で話し合い、遺産の分割方法を決める
- 協議の注意点:合意形成が不可欠、書面による記録が重要
- 協議不成立の場合:調停、審判を請求
- 遺産分割調停:家庭裁判所で調停委員を交えて話し合いを行う
- 調停のメリット・デメリット:比較的迅速、費用が比較的安い、強制力がない
- 遺産分割審判:家庭裁判所で裁判官が遺産分割の方法を決定する
- 審判のメリット・デメリット:強制力がある、費用が比較的高い、時間がかかる
- 協議書の作成方法:相続人の氏名、住所、相続財産、分割方法などを記載
- 協議書不備の場合:効力がなくなる可能性がある
- トラブル解決:弁護士、司法書士などに相談
- 弁護士・司法書士の役割:協議のサポート、法的アドバイス
- 有利に進めるポイント:事前に準備、専門家への相談
- 相続人以外への分配:遺言書で指定する必要がある
- 遺留分:法定相続人が最低限受け取れる相続分
- 遺留分侵害請求:遺留分が侵害された場合に請求できる権利
- 請求の注意点:期限、必要な書類、証拠などを確認
- 相続手続き
- 相続手続きの流れ:相続開始→遺産調査→相続税申告→遺産分割→相続登記
- 相続登記:不動産の所有権を相続人に移転する手続き
- 登記に必要な書類:相続関係説明図、戸籍謄本、固定資産税納税通知書など
- 登記費用:登記申請費用、司法書士報酬など
- 登記期限:相続開始から3年以内(時効)
- 登記怠慢:所有権移転の遅れ、税金問題などのリスク
- 専門者依頼メリット:手続きの簡略化、トラブル防止
- 自分で行う際の注意点:法律知識が必要、期限厳守が重要
- 相談窓口:法務局、司法書士事務所、弁護士事務所など
- 書類入手先:法務局、市町村役場など
- 手続き期間:数ヶ月から数年かかる場合も
- 費用:手続きの内容によって異なる
- 補助金・制度:地域によって異なる制度がある
- よくある失敗:期限切れ、書類不備、手続きミス
- 遺言書
- その他
- まとめ
相続開始と相続人
相続開始とは?
相続開始とは、被相続人(亡くなった方)が死亡した時点で、相続の法律上の権利・義務が発生することをいいます。
相続開始時期の特定に必要な書類
死亡日時を証明する戸籍謄本(全部事項証明)が必要です。出生から死亡までの戸籍がすべて揃っていないと、除籍謄本や改製原戸籍を取得する必要があります。
相続人の範囲
法定相続人には、配偶者、子(直系卑属)、父母・祖父母(直系尊属)、兄弟姉妹が含まれます。遺言があれば、遺言で指定された者も相続できます。
相続順位
第一順位は子(または孫)、第二順位は父母・祖父母、第三順位は兄弟姉妹です。配偶者は必ず相続人になります。
法定相続人以外の相続人
遺言で相続人に指定された者、または遺贈を受ける者も含まれます。
養子縁組と相続
養子は法律上の親子関係が認められ、実子と同等の相続権があります。ただし、養子の人数や時期に制限があるため注意が必要です。
認知されていない子の相続権
認知されていれば親子関係が法律上成立し、相続人となります。認知がない場合は、親子関係を確認する手続きが必要です。
未成年相続人の場合の手続き
未成年の相続人がいるときは、親権者あるいは後見人が代理で手続きを行います。遺産分割協議などでは家庭裁判所の許可が必要なことがあります。
複数相続人の遺産分割
相続人が複数いる場合は、全員で遺産分割協議をして分割方法を決めます。協議がまとまらないときは、家庭裁判所で調停または審判を申し立てられます。
相続放棄の手続き
相続放棄は、被相続人の死亡を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述することでできます。放棄が認められた場合、その人は最初から相続人でなかったことになります。
詳細は以下で解説しています。
相続放棄の手続きを徹底解説!必要書類や流れ、期限、注意点まで分かりやすく説明します
相続放棄の期限
原則として、相続開始を知った日から3ヶ月以内です。この期間を過ぎると放棄が認められにくくなります。
相続放棄と相続税
相続放棄をした場合でも、相続税の申告義務は原則なしです。ただし、放棄が一部のみだったり、放棄の前に利益を得た場合など、例外があるため税理士相談が望ましいです。
限定承認とは?
限定承認とは、「+の財産の範囲内でのみ」被相続人の債務を負う方法です。遺産を超える借金があっても、自己の財産を使って返済する必要はありません。家庭裁判所での手続きが必要です。
限定承認のメリット・デメリット
- メリット:借金が遺産を上回る場合でも過度な負担を避けられます。
- デメリット:相続人全員の同意が必要で、手続きが複雑。時間と費用がかかります。
相続放棄か限定承認か
財産より債務が多いと考えられるなら限定承認を、そうでなければ相続放棄や単純承認を検討します。債務・財産の調査が判断の鍵です。
債務超過の場合の対処法
被相続人の債務が財産を上回っているなら、限定承認または相続放棄を選択肢とします。債務内容や証拠の確認には専門家の助けを借りると安心です。
債務があるかは以下の記事を参考にしてみてください。
負債のみの相続
資産がほとんどなく負債だけがある場合、相続放棄をすることで負債を引き継がずに済みます。
相続放棄と債務責任
相続放棄が認められれば、その相続人は被相続人の債務を負いません。ただし、申述の書類に不備があると認められないことがあります。
遺産の種類と評価
不動産: 路線価、公示地価などを用いた評価方法を解説
土地は、市街地では路線価方式、郊外・地方では倍率方式などが使われます。必要に応じて公示地価・基準地価を参考に評価されます。
土地の評価については以下の記事で解説しています。
預金・現金: 残高をそのまま評価額とする
銀行預金・現金は、相続開始時点の残高が評価額になります。未払利息などがあるときはそれも考慮します。
なお、金融機関の調査の仕方は以下記事を参考にしてください。
相続手続きで必須?残高証明書の取得方法と必要書類を徹底解説!
株式: 時価または相続税評価額による評価
上場株式は市場価格で評価します。非上場株式は「類似業種比準方式」または「純資産価額方式」などの評価方法が用いられます。
投資信託: 時価または相続税評価額による評価
運用資産の価値や手数料を考慮し、時価で評価されることが多いです。
自動車・美術品: 専門機関による鑑定評価が必要となる場合が多い
自動車は中古市場価値を参考に、美術品や骨董品は専門鑑定士による評価が必要です。
借地権・底地: 専門家による評価が必要
借地料の条件・借地期間・土地の用途などで価値が大きく変わるため、不動産鑑定士などの専門家の意見が重要です。
事業: 事業の収益力などを考慮した複雑な評価が必要
事業資産・負債、将来の収益予測、市場環境などを総合的に評価します。
権利・特許権: 専門家による評価が必要
特許権や商標権などの無形資産は、将来の収益性やライセンス料を基準に評価します。
債権・債務: 時価で評価
契約内容や支払期日を確認し、相続開始時点での価値(時価)で評価します。
評価額への異議: 税務署に異議申立てを行う
評価に納得がいかないときは、税務署へ相談・異議申立てが可能です。専門家の意見を聞くと効果的です。
相続税評価額と時価: 相続税評価額は時価とは異なる評価方法による
相続税評価は、法律で定められた方式に基づきます。市場での売買価格(時価)とは異なる場合があります。
相続税評価額の減額: 減価償却、評価減などを活用
建物は減価償却を考慮。土地については、小規模宅地等の特例などの評価減制度があります。
遺産評価者: 税理士、不動産鑑定士など
特に不動産・事業・無形資産の評価には専門家の鑑定が役立ちます。
評価への不服: 税務署、国税不服審判所に不服申立て
税務署の決定に不服があるときは、不服申立て手続きを利用できます。
専門家: 税理士、不動産鑑定士、会計士など
それぞれ分野が異なる専門家が評価に関わります。不明点があれば見積もりを取ることが大切です。
相続税
基礎控除額:金額は相続人の数や相続開始時期によって異なる
現在の基礎控除額は「3,000万円+(600万円 × 法定相続人の数)」です。相続開始の時期によって制度が変わることがあります。
相続税率:累進課税制で、相続額が多いほど税率が高くなる
相続税は課税遺産総額に対して、法定相続分で仮分割した額ごとに速算表を使い税率を適用します。税率は10%~55%です。
申告期限:相続開始から10ヶ月以内
相続税の申告期限(10ヶ月)を過ぎると、延滞税や加算税が発生します。年利は納付遅れ期間に応じて変動します(概ね年2.5~8.7%程度)。
申告に必要な書類:相続税申告書、遺産分割協議書など
戸籍謄本、相続関係説明図、不動産登記簿、預金証明書、各種評価証明書などが必要です。
申告の可否:専門知識が必要なため、税理士への依頼が推奨される
非上場株式や土地の評価、小規模宅地特例の適用など、計算が複雑になることが多いため専門家への相談が望ましいです。
税理士への依頼メリット:正確な申告、節税対策の提案
誤申告による追徴税や延滞税を防げます。適用できる特例の活用や節税策を提案してもらえます。
おすすめの税理士の探し方については以下で解説しています。
節税対策:生前贈与、生命保険、信託など
代表的な方法として、暦年贈与、生前贈与、生命保険の非課税枠の利用、小規模宅地等の特例、信託制度の活用があります。
生前贈与の節税効果
生前贈与により、遺産総額を減らして相続税を抑えられます。ただし、贈与税との関係や当時の税制を確認する必要があります。
生命保険と相続税
死亡保険金は原則的に相続財産に含まれますが、「みなし相続財産」として扱われる部分や非課税限度額があります。
生命保険については以下の記事も参考にしてください。
相続対策に役立つ生命保険の活用法と注意点|節税とトラブル防止のポイント解説
延滞税:申告期限を過ぎると延滞税が発生する
期限を超えた申告・納税には延滞税が課されます。過去の事例や税率をチェックすることが大切です。
納付方法:納付書による納付、口座振替など
金融機関での窓口払い、口座振替、オンライン納付など、税務署が指定する方法で納付します。
還付請求:過払い分があれば還付請求できる
申告内容に過誤があり過払いがあれば、税務署へ還付請求できます。
納付困難の場合:税務署に相談し、猶予や分割納付を検討
経済的困難があるなら、税務署に相談して分割納付や納税猶予申請をすることが可能です。
相談窓口:税務署、税理士、弁護士など
相続税については、最寄りの税務署、相続税専門の税理士、または弁護士が相談先になります。
パンフレット入手:税務署、国税庁ホームページなど
国税庁や税務署、自治体の発行するパンフレットやウェブサイトで詳しい資料が入手できます。
遺産分割
遺産分割協議:相続人全員で話し合い、遺産の分割方法を決める
法定相続人全員で分け方を話し合います。口頭でも協議は成立しますが、書面にして協議書を作ると後のトラブルを防げます。
協議の注意点:合意形成が不可欠、書面による記録が重要
誰がどの財産をどれだけ取得するかを明確に記載し、相続人全員の氏名・住所・署名・押印を含めます。内容があいまいだと効力を問われることがあります。
協議不成立の場合:調停、審判を請求
話し合いがまとまらなければ家庭裁判所で調停を申し立て、それでも合意できないときは審判を請求します。
遺産分割調停:家庭裁判所で調停委員を交えて話し合いを行う
調停では中立の調停委員がいるため、協議よりも柔軟に相手の意向を調整しながら進められます。
調停のメリット・デメリット:比較的迅速、費用が比較的安い、強制力がない
調停の良い点は当事者の意見を反映しやすいこと。悪い点は、相手が応じないと進まない、時間がかかることがあります。
遺産分割審判:家庭裁判所で裁判官が遺産分割の方法を決定する
審判では協議や調停で合意が得られなかった場合に、裁判官が分け方を決めます。決定には強制力があります。
審判のメリット・デメリット:強制力がある、費用が比較的高い、時間がかかる
強制力があるため合意しなくても分割方法が決まる一方、手続きが長引くことや費用がかかることがあります。
協議書の作成方法:相続人の氏名、住所、相続財産、分割方法などを記載
遺産分割協議書には、相続人全員の氏名・住所・署名/押印、財産の具体的な内容と分割割合を含めます。
遺産分割協議書についてはひな型を用意しているので、下記チェック必須です。
相続で揉めないために──遺産分割協議書の作成方法を雛形・例文付きで徹底解説
協議書不備の場合:効力がなくなる可能性がある
署名・押印が欠けている、内容が不明確、財産の明細が不完全などの不備があると、銀行・登記所等で手続きを受け付けてもらえないことがあります。
トラブル解決:弁護士、司法書士などに相談
協議が長引いたり、相続人間の意見対立が激しい場合、専門家に間に入ってもらうと助かります。
弁護士・司法書士の役割:協議のサポート、法的アドバイス
協議書の作成、遺産評価、調停・審判申立てなど、法的・実務的な手続きを正確に進めるために関与します。
有利に進めるポイント:事前に準備、専門家への相談
財産・債務の所在を調べ、評価内容を整理し、相続人間で意思疎通を図っておくことが協議をスムーズに進めるコツです。
相続人以外への分配:遺言書で指定する必要がある
遺言書があれば、法定相続人以外にも財産を与える(遺贈)ことができます。ただし遺言が法律形式を満たしていないと効力を持ちません。
遺留分:法定相続人が最低限受け取れる相続分
遺留分は、法定相続人が遺言などで不当に少なくされたときに、最低限保障される相続分です。
遺留分侵害請求:遺留分が侵害された場合に請求できる権利
遺言などにより遺留分が侵害されたら、遺留分侵害額を請求できます。家庭裁判所を通じて手続きします。
請求の注意点:期限、必要な書類、証拠などを確認
遺留分の請求には、遺留分を知ったときから1年、または相続開始から10年という期限があります。遺言書や遺産目録など証拠書類を準備してください。
相続手続き
相続手続きの流れ:相続開始→遺産調査→相続税申告→遺産分割→相続登記
一般的な手順です。ケースによって順序が前後することがあります。
相続登記:不動産の所有権を相続人に移転する手続き
不動産を相続したら、登記名義を相続人に変更します。これを相続登記といいます。
登記に必要な書類:相続関係説明図、戸籍謄本、固定資産税納税通知書など
被相続人と相続人双方の戸籍謄本・住民票、遺産分割協議書、不動産の登記簿謄本、固定資産税評価証明書などが必要です。
登記費用:登記申請費用、司法書士報酬など
法務局に支払う登録免許税などの手数料のほか、専門家に依頼する場合は司法書士などの報酬がかかります。
登記期限:相続開始から3年以内(時効)
法改正により、相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続開始を知ってから3年以内に登記が必要です。正当な理由なく怠ると過料(最大10万円)が科されます。
相続登記の義務化については以下で解説しています。
相続登記義務化2024年から!手続き方法、費用、注意点、専門家選びを徹底解説
登記怠慢:所有権移転の遅れ、税金問題などのリスク
登記をしないと、将来売却や担保設定ができないことがあります。相続税申告や固定資産税の支払で不利になることもあります。
専門者依頼メリット:手続きの簡略化、トラブル防止
登記や相続税申告などを専門家に任せると、書類の不備やミスを防げます。
自分で行う際の注意点:法律知識が必要、期限厳守が重要
書類漏れ、戸籍の取り忘れ、評価誤りなどが後で大きなトラブルにつながります。提出期限や必要書類を事前に確認してください。
相談窓口:法務局、司法書士事務所、弁護士事務所など
不動産登記は法務局、それ以外の手続きは家庭裁判所や税務署なども相談先になります。専門家選びも重要です。
書類入手先:法務局、市町村役場など
戸籍/除籍/住民票は市区町村役場、不動産登記簿は法務局、納税通知等は税務署で取得できます。
手続き期間:数ヶ月から数年かかる場合も
財産の種類、相続人間の協議の有無、調停や審判が必要かどうかで変わります。協議が順調なら数ヶ月で終わることもありますが、複雑なケースでは1年以上かかることがあります。
費用:手続きの内容によって異なる
専門家の報酬、鑑定費用、登記手数料などがかかります。見積もりを取ることが望ましいです。
相続手続きにかかる費用については以下でも解説しています。
補助金・制度:地域によって異なる制度がある
一部自治体で相続登記などの簡易化支援や手続き費用の助成制度があります。お住まいの自治体に確認してください。
よくある失敗:期限切れ、書類不備、手続きミス
戸籍取得漏れ、相続放棄の期限超過、協議書に押印・署名がない、登記忘れ、税申告不足などは典型例です。
遺言書
遺言書の3種類:自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言
- 自筆証書遺言:令和3年の民法改正により、自筆証書遺言の本文は自筆で書く必要がありますが、財産目録はPC作成可、通帳のコピー添付なども可能となりました。
- 公正証書遺言:公証人と証人2名の立会いのもと、公証役場で作成します。
- 秘密証書遺言:遺言内容を秘密にできます。遺言者が書類を封入・署名し、公証人にその存在だけを証明してもらう形式です。
遺言書作成メリット:相続トラブル防止、相続人の意思尊重
誰に何をどれだけ遺すかを明確にでき、相続人間の誤解や争いを防ぎます。
両親に遺言を書いてもらう際に参考になる記事は以下で紹介しています。
親に遺言書を書いてもらうための具体的な方法と注意点|スムーズな手続きを実現するガイド
作成時の注意点:法的な形式を満たす必要がある
形式不備(自筆でない、日付や署名・押印がないなど)や、遺言作成時の判断能力の欠如が原因で無効になることがあります。
自筆証書遺言:全て自筆で作成する必要がある
本文・日付・氏名を自筆で書くことが基本です。令和3年法改正で財産目録だけPCで作成したり、通帳の写しを添えることが認められました。
公正証書遺言:公証役場で作成する
公証人が遺言内容を聞き取り、証人2人の立ち会いなど法令の要件を満たして作成します。
秘密証書遺言:遺言の内容を秘密にすることができる
内容は秘密でも、封印・署名・証人等、形式上の要件があります。形式が複雑なため注意が必要です。
無効になるケース:形式に不備、強制力がない、意思能力がないとき
自筆遺言で日時・氏名・署名がなかったり、公正証書遺言で形式を満たさなかったり、遺言能力を欠いていたと認められると無効になります。
以下で詳細に解説しています。
公正証書遺言が無効になるケースとは?理由・事例・判例から徹底解説|無効になる可能性と対策
内容変更:新しい遺言書を作成する
遺言を変更または廃止したいときは、新しい遺言書を作成して、古い遺言の破棄や改定を書面で明示すると安心です。
保管方法:安全な場所で保管
自筆遺言は紛失・改ざんのリスクがあります。法務局の遺言保管制度を利用することで安全性が上がります。
遺言執行者:遺言書に従って手続きを行う人
遺言に執行者を指定しておくと、相続手続きや分割の実行がスムーズです。
遺言執行者については以下の記事で詳細に解説しています。
遺言執行者とは?役割・仕事内容・報酬からトラブル回避まで徹底解説
執行者不在:裁判所が選任する
遺言に執行者の指定がない場合、家庭裁判所が遺言執行者を選任します。
遺言書なし:法定相続人の相続順位に従って遺産が分割
遺言がないときは民法に定められた相続人と順位に基づいて遺産分割が行われます。
その他
相談窓口:弁護士、司法書士、税理士、行政書士など
相続の内容によって適切な専門家が異なります。自治体の無料相談会なども活用できます。
法律:民法、相続税法など
相続については民法(相続人・遺言・遺産分割)、相続税法(税金計算)、不動産登記法、戸籍法などが関わります。
参考資料:国税庁ホームページ、法律関連書籍など
国税庁・法務省・裁判所・自治体の公式サイトや相続専門の解説サイト・書籍が信頼できる情報源です。
トラブル防止:遺言書の作成、遺産分割協議の徹底
遺言書を残す、財産と債務を事前に把握、相続人間で意見を共有することがトラブルを減らします。
揉めない対策:事前に相続について話し合う、専門家への相談
家族で資産内容や希望を話し合っておくこと、必要に応じて遺言や生前贈与を準備しておくことが有効です。
専門家への相談:複雑なケース、トラブル発生時は必ず相談
資産が大きい・事業継承がある・相続人が多い・放棄が絡むなど複雑なケースでは専門家の関与が特に重要です。
専門者種類:弁護士、司法書士、税理士、行政書士など
分野によって役割が異なります。法律問題は弁護士、登記は司法書士、税務は税理士等が得意です。
税理士の選び方については以下の記事を参考にしてください。
手続き円滑化ポイント:専門家への依頼、期限厳守、正確な書類準備
書類収集・戸籍取得・財産・債務の整理・遺言・相続人間のコミュニケーションなどをしっかり準備して動くと手続き全体がスムーズになります。
まとめ
相続は複雑で、一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも有効です。本記事で紹介した情報を参考に、不安を解消し、スムーズな相続手続きを進めていきましょう。不明な点があれば、弁護士、司法書士、税理士などの専門家にご相談ください。

都内の税理士・行政書士法人に勤務しています。
相続専門の行政書士として、コンサルティングや他士業との連携もしており、死後の手続きから生前相談(遺言や信託)にも精通。
年間面談件数は120件以上、豊富な知識と経験、話しやすさに定評をいただいております。
行政書士 登録番号:21082254 所属:東京会
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