「相続手続きって、一体いくらかかるの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
相続は人生の大きな節目であり、手続きにはさまざまな費用が発生します。戸籍謄本の取得や税金、専門家への依頼など、想定していなかった支出に驚くことも少なくありません。
この記事では、相続手続きに必要な費用を項目別に詳しく解説し、具体的な金額例や費用を抑えるための方法もご紹介します。また、相続税の計算方法や、弁護士・税理士に依頼すべきケースについてもわかりやすく説明します。
この記事を読めば、相続にかかる費用の全体像を把握し、無駄な出費を避けるためのポイントが理解できます。結果的に、精神的な負担を軽減し、よりスムーズに相続手続きを進められるようになります。
まずは、費用の内訳を見ていきましょう。
相続手続きにかかる費用の内訳
相続手続きにかかる費用は、状況によって大きく異なります。ケースによっては、数十万円〜数百万円かかることもあります。この章では、代表的な費用項目とその目安、費用を抑えるための工夫について紹介します。
戸籍謄本などの取得費用
戸籍謄本の取得費用は、必要な通数によって変わります。相続人を確定するには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を集める必要があり、数世代にわたる取得が必要になることもあります。
戸籍謄本は1通あたり数百円ですが、必要枚数が多いと総額が数千円〜1万円を超える場合もあります。役所の窓口で必要書類を事前に確認したり、電話やオンラインで問い合わせることで、余分な取得を避けることができます。
また、オンライン申請や郵送を活用すれば、遠方の自治体の役所に出向く手間や交通費も省けます。複数の自治体にまたがる場合には、特に効率化が重要です。こうした工夫で、手間と費用の両方を減らせます。
相続税の計算と申告費用
相続税の計算は複雑で、相続財産の評価や各種控除の適用には専門知識が必要です。そのため、多くの方が税理士に依頼しています。
税理士への依頼費用は、財産の額や構成によって異なり、10万円〜100万円以上かかる場合もあります。特に不動産や株式など評価が難しい財産があると、費用も高くなりがちです。
一方、自分で申告することも可能ですが、税法を十分に理解していないと、誤った申告により追徴課税や延滞税が課される可能性があります。時間とリスクを考えると、税理士に依頼した方が安心です。
なお、相続税の申告には、財産目録、遺産分割協議書、戸籍謄本など、さまざまな書類の準備が必要です。準備には数ヶ月かかることもあるため、早めに取りかかりましょう。
遺産分割協議にかかる費用
遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を決める話し合いのことです。話し合いが円満に進めば、特別な費用はほとんどかかりません。
しかし、意見が対立しトラブルに発展した場合は、弁護士や司法書士に依頼する必要があります。その場合、数十万円〜数百万円の費用がかかることもあります。協議書の作成を専門家に任せる場合にも、別途費用が発生します。
自分たちだけで協議書を作成することも可能ですが、法的な不備や後々のトラブルを避けるためには、専門家のチェックを受けた方が安心です。できるだけ相続人同士で冷静に話し合い、トラブルを避けることが、費用を抑える近道です。
相続登記にかかる費用
相続登記とは、被相続人名義の不動産を、相続人名義に変更する手続きです。2024年からは相続登記が義務化され、期限内に行わないと過料が科される可能性があります。
登記手続きは自分で行うことも可能ですが、必要書類の準備や法務局への申請には専門的な知識が求められます。ミスがあると手続きがやり直しになることもあります。
司法書士に依頼した場合、費用は数万円〜十数万円が一般的ですが、不動産の件数や評価額によってはそれ以上になることもあります。自分で行う場合との比較を行い、費用と手間のバランスを考慮して判断しましょう。
その他費用(弁護士・税理士への相談料、専門家への依頼費用など)
相続手続きに関しては、弁護士や税理士などへの相談費用も発生します。一般的に、相談料は1時間あたり5,000円〜30,000円程度が目安です。
また、相続手続きを一括で代行するサービスもあり、費用は財産規模や内容の複雑さによって異なりますが、20万円〜100万円を超えるケースもあります。専門家に依頼することで、手続きの効率化やミスの防止につながります。
費用を抑えるには、事前に必要な情報をまとめておき、相談内容を明確にしておくことが重要です。複数の事務所から見積もりを取って比較検討するのも効果的です。
相続手続き費用を節約するための具体的な方法
相続にかかる費用はケースバイケースですが、正しい知識をもとに工夫すれば、無駄な支出を減らすことが可能です。この章では、費用を節約するための実践的な方法をご紹介します。
自分でできる手続きは自分で行う
戸籍謄本の取得や、預貯金の残高確認などは、自分で対応できます。こうした手続きを自分で行えば、専門家への依頼費用を節約できます。
ただし、法的な知識が求められる手続きについては、無理に進めず、必要に応じて専門家に相談しましょう。情報収集には、役所や法務局の窓口、公式ウェブサイトを活用すると効率的です。
適切な専門家を選ぶ
相続には、弁護士、税理士、司法書士など複数の専門家が関わります。依頼する内容に応じて、適切な専門家を選ぶことが、無駄な費用を防ぐポイントです。
例えば、相続税の申告は税理士、不動産の登記は司法書士が専門です。それぞれの専門分野を理解し、必要な範囲で依頼するようにしましょう。費用や対応の丁寧さなども含めて、比較検討することが重要です。
無料相談を活用する
多くの専門家事務所では、初回の相談を無料で受け付けています。無料相談では、自分のケースに必要な手続きや費用の目安を把握できます。
相談前に、現在の状況や聞きたいことを整理し、簡単なメモを用意しておくとスムーズです。相談後は、その内容をもとに具体的な行動計画を立てましょう。無料相談を上手に活用すれば、費用をかけずに必要な知識を得ることができます。
まとめ:賢く相続手続きを進めるために
相続手続きには、戸籍の取得費用から相続税の申告費用、専門家への依頼料まで、さまざまな費用がかかります。この記事では、それらの費用を項目ごとに解説し、節約のための具体的な方法も紹介しました。
自分で対応できる部分は無理なくこなし、必要な場面では信頼できる専門家に依頼することが大切です。今回の内容を参考に、費用と手間をバランスよく抑えながら、賢く相続手続きを進めてください。

都内の税理士・行政書士法人に勤務しています。
相続専門の行政書士として、コンサルティングや他士業との連携もしており、死後の手続きから生前相談(遺言や信託)にも精通。
年間面談件数は120件以上、豊富な知識と経験、話しやすさに定評をいただいております。
行政書士 登録番号:21082254 所属:東京会
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