相続が発生して相続財産を調査してみると、建物が登記されておらず、手続きをどうしたらよいか悩んでしまい、ご相談をいただくことがあります。
建物全体が未登記、もしくは増築した部分が未登記になっている場合と、ケースによってさまざまですが、結論から申し上げると、引き続き住む場合にはなんの問題もない(過料として10万円以下のペナルティが発生するリスクはありますが…)のです。
では、未登記の建物をそのままにした場合のデメリットや、登記をしたい場合の費用はどのくらいかかるかなどについて、今回はご紹介していこうと思います。
なぜ未登記建物が存在するのか
通常だと建物を建てた際には1ヶ月以内に法務局に申請しなければならないのですが、当時建築した工務店などが不動産登記の部分をしっかりと説明していなかったり、銀行などの融資を受けずに手持ちの現金のみで建物を建て、抵当権の設定などをしなかった場合は、未登記のまま存在し続けてしまいます。
銀行が融資をする場合、担保として土地と建物を抵当に入れるので、未登記ということは考えられないのです。
未登記だと、後ほどご紹介しますが融資を受けられないため、銀行としてもそんな危ない橋は渡れないということですね。
また、相続が発生し、名義変更をしなければいけないところ、登録免許税など司法書士費用がかかってしまうため、そのままにしてしまう…というケースもあります。
昔の建物ほど、ローンを組んだりして建てる人が少なかったので、未登記の物件が多いのです。
未登記のデメリットとは?
まず第一に、過料制裁のリスクがあるということです。
ただ、この部分で過料制裁が発生したということはあまり聞かないので、今までそこまで気にする方はいらっしゃいませんでした。
しかし、2024年から相続登記の義務化が始まるので、未登記建物でも相続した場合で名義変更をしないと、これもまた過料制裁のリスクが発生してしまいます。
おそらく以前よりも厳しくなることが予想されます。
なお、相続登記の義務化については相続登記の義務化についてを参考にしてみてください。
そして二つ目として、融資を受けられないことが挙げられます。
老朽化に伴いリフォームをしたいが、現金一括では払えない…
という場合には担保がないので、かなり資金の部分で困ることになりかけません。
三つ目として、売却しづらいことが挙げられます。
買い手も現金一括で買ってくれるなら問題ないのですが、そうでない場合はローンを組めないので、買い手がつきにくいという悪循環に陥ってしまうのです。
そして四つ目として、時間が経てば経つほど相続手続きが難航します。
これは登記をする場合が対象なのですが、相続関係がより複雑になり、当時の建築確認済証などが行方不明になってしまい、どうすることもできないというケースも過去にはありました。
登記をする場合の費用は?
建物の面積や、増築に増築を重ねたりしている場合の構造の複雑さによって金額は変わってきます。
この未登記建物の登記をしてくれるのは土地家屋調査士という専門家ですが、費用は10〜20万円、場合によっては50万円かかってしまうケースもあります。
また、相続人が発生している場合は戸籍収集や遺産分割協議書を作成したりする必要もあるため、司法書士や行政書士の費用も余分にかかってしまうことになります。
期間としては、書類に不備がなければ不動産の調査期間も含めて1ヶ月程度見ておけば終わってくるとのことです。
まとめ
未登記の建物を相続した場合のリスクやデメリットをご紹介しました。
今後過料制裁も視野に入れて、デメリットと向き合わなければいけないタイミングがくるかと思います。
住み続けていくにも、リフォームが必要になった場合は登記をしないと融資を受けられません。
相続が複数発生し複雑になる前に、手を打つこともご検討いただければ嬉しいです。
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